チルドレン・センター

ABA(応用行動分析学)で自閉症を療育

【自閉症について考える】夫婦間や家族間で問題行動に対する考えの違い

【自閉症について考える】夫婦間や家族間で問題行動に対する考えの違い

こんにちは、ABAセラピストの三松です。

夫婦や家族の間で自閉症に対する考え方にばらつきがあるのだがどうすればいいの?

このことに関して相談をよく受けます。

お父さんとお母さんが子供と一緒にいる時間の違い、見方の違い、要求の違いなどで、
だいぶそれぞれの考え方にズレが生じてしまう。

きちんと話し合って考え方を合わせていかないといけない
と悩む家族がいますが、実はあえて合わせる必要はないとわたしは思います。
大事なのは「考え方」を合わせるのではなく、「目標」を合わせることだと思います。

一つの目標に向かって突き進んでいくことは、本当に大切なことなんだなと感じたことがありました。

少し前の話ですが、チルドレン・センターに話しかけても何も返事しない自閉症のお子さんがいました。

わたしはその子の担当セラピストとなり、ご両親にインタビューを行ったところ、二人の考え方には違いがありました。
お父さんは無視せず、せめて何かしらの返答をするように成長してほしいと願っていました。
それに対してお母さんは返答しなくてもいいから自分の指示に素直に従ってほしいと願っていました。

そこで目標を一つに絞ることを提案しました。
目標は、お子さんが嫌がることに対しては必ず言葉で「やだ」「今やりたくない」と言ってもらうようにするというシンプルなもの。
つまり、嫌なことは嫌とはっきり言う、それだけです。

最初は戸惑いがあったものの、お父さん、お母さん、そしてセラピストでこの目標に向かって突き進みました。
ABAに基づいてセラピーを行うこと半年、お子さんは着実に成長していきました。
嫌なことに対して無視することなく、自分の言葉ではっきりと示すようになりました。
「自分が言葉を出すことによって、周りが反応する、そして自分も楽になれる、楽しい」
ということがわかると、嫌なこと以外でも言葉で言えるようになりました。
今では、指示も聞くようになり、目が合うと笑うまでに成長しました。

一つの目標をみんなで向かっていったことによって、子供に小さな変化が現れ、そしてどんどん成長していきました。
考え方の違いがあったにも関わらず、気がつけばお父さん、お母さん両方が望むかたちで子供は成長していきました。

意見の一致がなかなか取れない場合、家族の間で目標について考えてみてはいかがでしょうか。

もし目標やその取り組みなどでお悩みの場合はいつでも私たちにご相談ください。
マシュマロ