チルドレン・センター

ABA(応用行動分析学)で自閉症を療育

テレヘルス(Telehealth)/オンライン指導とは?

テレヘルス(Telehealth)/オンライン指導とは? ​

テレヘルス(オンライン指導)は、デジタル技術によるビデオチャットなどで自宅などどこでも医療関係者の診察を受けることができるサービスです。米国では1970年代に医療業界でテレヘルスが導入され、臨床現場や病院にいない人の健康状態を監視することが実施されてきました。以来、テレヘルスは成功を収めています。

応用行動分析学(ABA)を用いて介入をする資格保持者(認定行動分析士(BCBA®︎)および登録行動テクニシャン(RBT®︎))は、世界中にいますが、特に米国では医療従事者としての位置づけをされています。カリフォルニア州では、2011年にテレヘルス推進法が制定され、テレヘルスを使う指導に関して様々な研究が進められています。

応用行動分析学(ABA)とテレヘルス(オンライン指導)

ABAでは、アセスメント、介入計画の作成、直接的な介入(個人・集団)、直接・間接的なスーパービジョン、ペアレントトレーニング、など様々な指導が行われます。今後、遠隔指導のサービスを拡大するために、チルドレン・センターでは、テレへルス(オンライン指導)を開始していきます。

テレヘルス(オンライン指導)の進め方

1. 問題行動の定義、指導の前提となるスキルの確認と査定(アセスメント)

参加者:お子さん、保護者、BCBA/RBTなどの指導者

指導者(BCBA/RBT)は、機能的行動査定(アセスメント)をオンラインにて実施します。このアセスメントは、指導開始後も必要に応じて随時実施します(Wacker, et al, 2013)。※介入には、保護者または介護者の同席が必要です

2. オンライン指導を実施するための保護者のトレーニングを実施する。

参加者:保護者、BCBA/RBTなどの指導者

指導者(BCBA/RBT)は保護者のトレーニングを実施します。このトレーニングには、大きく分けて3つの目標があります。

  1. 指導者と保護者が協力して、お子さんにオンライン指導に必要なスキル(例:注視スキルなど)を教えます。このスキルの習得や環境調整は困難な場合が多く時間を要しますが、すぐに教えることができない場合は、明確な計画を立て、どのように介入を進めていくのかを明白にします。
  2. 安全上の問題を解決した後で(環境条件など)、介入の実施に関する指導を行います。
  3. 指導者は、オンライン指導では何を期待すべきかを教え、プロセス全体を通してBCBAに報告するための明確な計画を提供します。

3. 強化子を査定して、お子さんの適切な行動を強化します。

参加者:お子さん、保護者、BCBA/RBTなどの指導者

技術の進歩により、オンライン指導でも多くの強化子を提示し、使用することができます。(正式にはこのプロセスを「プリファレンスアセスメント」強化子になりえるものの査定といいます)。例えば、YouTubeでお子さんのお気に入りの動画を共有するなどです。

しかしながら、実際に強化子を査定し使用していくためには、指導者(BCBA/RBT)が実際に同席をしないと難しい場合があることをご理解ください。プリファレンスアセスメントに含む具体的な強化子については、保護者(および会話に参加できる場合はクライエント)と一緒に検討していくことが必要です。また、プリファレンスアセスメントが実施された後、どのように強化を行うかについて明確な計画を立てる必要があります。オンライン指導では、トークンシステムの使用に関する研究ベースに基づいて、トークンシステムを正しく利用する方法を、主に保護者に教えることに焦点を当てています。(Hall, 2018; Machalicek, Lequia, Pinkelman, Knowles, Raulston, Davis, & Alresheed, 2016)。

すでにお子さんの指導にトークンシステムが導入されている場合、保護者の方は必要な教材と強化子になりえるものをご準備ください。お子さん自身または同席の保護者の方が、トークンをコントロールできるのであれば、既存のシステムを継続することが有益であるかもしれません。また、オンライン画面を利用してトークンを提示する方法もあります。

直接的にお子さんを声で褒めることが強化子となる場合は、スクリーンを通して声で褒めることも同様に強化子となるかどうかを判断する必要があります。ならない場合は、反応刺激ペアリング手順(Dozier, Iwata, Thomason-Sassi, Worsdell, & Wilson, 2012)を利用する必要があります。

4. テレヘルスによる個別の試行指導(DTT)の実施方法について

通常の指導のほかに、オンラインで画像、テキスト、またはビデオを使用する場合もあります。

例えば、①パワーポイントを使用した指導(Cummings & Saunders,2019)や、②コンピュータベースの学習ツール(Blair & Shawler,2019)③KahootやQuizlet Learnなどのアプリを使用することもできます。

今後、サービスを導入するすべての実践者が導入のステップを明確に理解できるように、簡単なビデオモデル(ビデオ支援型のタスク分析など)を提供する予定です。

視覚的なスケジュールやサポートの使用方法を検討

ビジュアルスケジュールやサポートは、画面上に表示したり、別のアプリ(Todo Visual Schedule や Choiceworks など)を利用したり、家庭にある既存の教材を使って作成したりすることができます。

アクティブ・スチューデント・レスポンディング(ASR)の導入方法を検討

Drevno, Kimball, Possi, Heward, Gardner, & Barbetta (1994)は、ASRの間に誤り訂正を実施するための明確な手順を示しています。前述のような技術(Microsoft PowerPointなど)を使用すると、プレゼンテーションに直接組み込むことができるため、エラー訂正を迅速に行うことができます。

REFERENCES:
Blair, B. J., & Shawler, L. A. (2019). Developing and Implementing Emergent Responding Training Systems With Available and Low-Cost Computer-Based Learning Tools: Some Best Practices and a Tutorial. Behavior Analysis in Practice, 1-12.
Cummings, C., & Saunders, K. J. (2019). Using PowerPoint 2016 to create individualized matching to sample sessions. Behavior Analysis in Practice, 12(2), 483-490.
Dozier, C. L., Iwata, B. A., Thomason‐Sassi, J., Worsdell, A. S., & Wilson, D. M. (2012). A comparison of two pairing procedures to establish praise as a reinforcer. Journal of Applied Behavior Analysis, 45(4), 721-735.
Drevno, G. E., Kimball, J. W., Possi, M. K., Heward, W. L., Gardner III, R., & Barbetta, P. M. (1994). Effects of active student response during error correction on the acquisition, maintenance, and generalization of science vocabulary by elementary students: A systematic replication. Journal of Applied Behavior Analysis, 27(1), 179-180.
Ferguson, J., Craig, E. A., & Dounavi, K. (2019). Telehealth as a model for providing behaviour analytic interventions to individuals with autism spectrum disorder: A systematic review. Journal of autism and developmental disorders, 49(2), 582-616.
Hall, C. M. (2018). Parent consultation and transitional care for military families of children with autism: A teleconsultation implementation project. Journal of Educational and Psychological Consultation, 28(3), 368-381.
Hay-Hansson, A. W., & Eldevik, S. (2013). Training discrete trials teaching skills using videoconference. Research in Autism Spectrum Disorders, 7(11), 1300-1309.
Machalicek, W., Lequia, J., Pinkelman, S., Knowles, C., Raulston, T., Davis, T., & Alresheed, F. (2016). Behavioral telehealth consultation with families of children with autism spectrum disorder. Behavioral Interventions, 31(3), 223-250.
Peterson, K. M., Piazza, C. C., Luczynski, K. C., & Fisher, W. W. (2017). Virtual-care delivery of applied-behavior-analysis services to children with autism spectrum disorder and related conditions. Behavior Analysis: Research and Practice, 17(4), 286.
Vismara, L. A., McCormick, C., Young, G. S., Nadhan, A., & Monlux, K. (2013). Preliminary findings of a telehealth approach to parent training in autism. Journal of autism and developmental disorders, 43(12), 2953-2969.
Wacker, D. P., Lee, J. F., Dalmau, Y. C. P., Kopelman, T. G., Lindgren, S. D., Kuhle, J., … & Waldron, D. B. (2013). Conducting functional communication training via telehealth to reduce the problem behavior of young children with autism. Journal of developmental and physical disabilities, 25(1), 35-48.
Ward‐Horner, J., & Sturmey, P. (2008). The effects of general‐case training and behavioral skills training on the generalization of parents’ use of discrete‐trial teaching, child correct responses, and child maladaptive behavior. Behavioral Interventions: Theory & Practice in Residential & Community‐Based Clinical Programs, 23(4), 271-284.