文句ばかり言う子どもへの向き合い方|ABA(応用行動分析学)の視点から

文句ばかり言う子どもへの向き合い方|ABA(応用行動分析学)の視点から

暑い夏が続いていますが、みなさん夏休みはいかがお過ごしでしたか?普段は学校や園に通っているお子さんが、夏休みで自宅にいる時間が増えると、親子で接する時間も長くなります。

その分――

  • 「ケンカしてしまった」
  • 「うちの子は文句ばかり…」

と感じる場面が増えた方もいるかもしれません。

  • 「叱っても文句が減らない」
  • 「どう接したらいいかわからない」

そんな悩みを抱える保護者の方に向けて、ABA(応用行動分析)の視点からできる工夫をご紹介します。

目次

なぜ子どもは「文句ばかり」言うのか?

ABAでは、すべての行動には目的があると考えます。「文句」も単なるわがままではなく、子どもにとって意味のある行動なのです

例えば、

  • 注目を得たい(親にかまってほしい)
  • 自分の希望を通したい
  • 嫌なことを避けたい

こうした目的を達成する手段として「文句を言う」ことが習慣になってしまうケースが多いのです。

文句が続いてしまう仕組み

子どもの行動は、その後にどんな結果が待っているかによって、続きやすく(強く)なったり減ったり(弱く)しま

  • 文句を言ったら親が反応する → 文句が強化される
  • 文句ではなく「お願い」が通る → 適切な伝え方が強化される

つまり、「文句のあとに何が起こるか」が行動の分かれ道になるのです。

保護者ができるABA的アプローチ

1. 記録してみる(ちょっとしたメモでも、行動のパターンが見えてきます)

  • どんな場面で文句が出やすいか
  • 文句のあと、親がどう対応したか

2. 代わりの行動を教える望ましい表現方法を練習

「いやだ!」ではなく、

  • 「休憩したい」
  • 「これにしてほしい」

3. 返答の仕方を工夫する「メリハリ」によって、子どもにとってどの表現が有効かを学習

  • 文句に対しては対応を最小限にする
  • 適切に伝えられたときは大きくほめたり、希望を叶える

まとめ

「文句ばかり」に見える行動も、子どもなりの伝え方です。ABAの視点で捉えると、その裏にある気持ちや目的が見えてきます。保護者や周囲の大人が代わりの伝え方を根気よく指導をしていくことで、少しずつ前向きな変化が現れていきます。

この記事を書いた人

松田 幸都枝(まつだ こずえ) 松田 幸都枝
(まつだ こずえ)
チルドレン・センター 代表取締役

認定行動分析士 (博士)(BCBA-D®)
米国ニューヨーク州 行動分析士
Pepperdine大学大学院 准教授


豪州シドニー大学教育学部初等科、特別支援学部卒業後、豪州、イギリス、オランダなどで特別支援および普通学級などで勤務。米国の大学院にて、博士(応用行動分析学)課程を修了。2008年、株式会社チルドレン・センターを設立。全従業員 国際資格保有。チルドレン・センターのスタッフとともに、日本、米国、およびアジア諸国にて、家庭や学校内でのABA指導およびスーパービジョンを務める。2016年より大田区の特別支援アドバイザー就任。2020年よりペッパーダイン大学大学院 心理学部の准教授として指導。著書に「小児科医に知ってほしい応用行動分析学(ABA)について」(小児内科/ 東京医学社) 、Culturally Tailored ABA: Treatments for Asian American Clients and Families. Multiculturalism and Diversity in Applied Behavior Analysis. Bridging Theory and Application (Routledge社) など。

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