チルドレン・センターのABAセラピーでは、運筆の課題に取り組むときだけ、大きな声を上げたり、叩いたり、物を投げたりするなどの行動が見られ、強い拒否反応を示すお子さんがいました。
このお子さんに対しては、FCT(Functional Communication Training:機能的コミュニケーション・トレーニング、以下、FCTと呼びます。)の支援を行い、落ち着いて言葉で気持ちを伝えられた際には、その要求に応じる方法を導入しました。
あわせて、運筆課題の提示方法についても見直しを行いました。
課題の提示方法を変えて「好き」を生かす
ノートやプリントで一方的に運筆課題を提示するのではなく、お子さんの「好きなテーマ」を題材に一緒に学びながら、まとめノートを作成しました。
そのノートの中で、自然な流れの中で運筆練習を行いました。
好きなテーマを活用した運筆練習の工夫
例えば、テーマを「海の生き物」と設定し、
- 最初に動画やネットで調べる
- まとめノートを作る
- セラピストが「今日のテーマ」と書く
- そのテーマ(例:「カツオノエボシ」)をお子さんに書いてもらう
という流れで実施しました。
お子さんの好きなテーマだと、嫌がることなく取り組んでくれました。
課題提示の変化で見られたお子さんの反応
初めて課題の提示方法を変えたときには、その変化にとても驚きました。
字を書く課題を初めて提示した際には、お子さんの筆箱の鉛筆がすべて宙を舞うほど、強い拒否反応がありました。
しかし、興味のあるテーマに取り組むときには嫌がることなく書いてくれたのです。
その姿を見て、とても安心したことを今でもよく覚えています。
FCTを継続することで見られた変化
FCTの介入を続けておよそ2ヶ月。
課題を提示した際には、「後にしてください」「(課題を)◯個減らしてください」など、落ち着いて言葉で自分の気持ちを伝えられるようになってきました。
3ヶ月後には自分から鉛筆を持てるように
さらに介入を続けておよそ1ヶ月。
ノートやプリントで字を書く課題を提示しても、嫌がることなく自分から鉛筆を手に取り、進んで書いてくれるようになりました。







