ABAセラピーでは、課題のあとに、お子さんの適切な行動を増やす目的で、「強化し(行動の直後に提示される刺激で、将来の行動が増加するもの)」を使用しています。
強化しがゲームのお子さんがいました。
次の課題に移ろうと指示を出すと、ゲームを続けたい気持ちから「あー!!!」と大きな声を出していました。
そこで、大きな声ではなく、代替行動として、言葉で気持ちを伝えられるように練習しました。「ちょっと待って」や「もう少しやりたい」と言えたときには、その言葉にしっかり応じるようにしました。
さらに言葉でのコミュニケーションを続けていき、ゲームの終わりが近づいたころ、「たくさん遊んだから、ゲームはいったんお預かりするね」と説明しました。
すると、ゲームを取った際に、泣く行動が見られました。
この場合に、どのような介入を行ったかというと、まずはこれまでと同様に、代替行動として言葉で伝えてもらうことを続けました。そして、ゲームを取り上げるのではなく、先に次の課題を提示するようにしました。つまり、泣く行動が起こる前に介入を行ったのです。
すると、そのお子さんは次の課題に取り組もうとして、自分からゲームを止め、そっと置いてくれました。
ゲームを置いている間に大人がそれを片づけても、怒ることはありませんでした。提示の仕方を少し変えただけで、これほど行動が変わったのです。
あらためて、先行刺激――行動が起こる前の介入――の重要性を実感した場面でした。







