言うことを聞かなかった子どもが文字を書けるようになったお話

「文字を書いてみよう」と伝えても、なかなか取り組めないお子さんもいます。
今回は、ABAセラピーの中で、お子さんの好きなことを取り入れながら関わることで、最終的には自分から名前を書けるようになった事例をご紹介します。
最初は「形をなぞること」も難しかった
チルドレン・センターでABAセラピーをしていたお子さんで、VB-MAPP(お子さんの発達状況を評価し、一人ひとりに合った支援プログラムを作るためのアセスメント)の「書き」のプログラムに取り組んでいました。しかし、音声で指示を出しても、書きのプログラムには取り組まないお子さんでした。
書きのプログラムの最初のターゲットは、形をなぞることでした。
プリントやお絵描き帳を広げて、鉛筆などを渡し、「形をなぞってみよう!」と指示を出しても、お子さんは自分が描きたいものを描くなど、指示とは違う行動をしていました。
プログラムでは、FCT(機能的なコミュニケーション)を優先していたため、お子さんには「先に描きたい」など、自分の要求を言葉で伝えてもらってから、描いてもらうようにしていました。
「形をなぞってみよう」という指示はうまくいかなかった
「形なぞってみよう!」と言う音声指示は、その時点ではまだ有効ではなかったため、この指示は使わないことにしました。
そこで、お子さんが好きな病院ごっこを取り入れ、「入院するから四角いベッドを描こう!」と伝えると、形をなぞることができました。すぐになぞってくれるという素晴らしい行動を見せてくれました。
このお子さんは、「なぜ描くのか」という理由を伝えると理解して取り組んでくれる、とても理解力のあるお子さんでした。
少しずつ文字を書くことへステップアップ
形をなぞるターゲットができるようになると、次は文字をなぞるターゲットに進みます。
お絵描きをした後に、「誰のものか分かるように、お名前を書こう」と伝えると、文字をなぞることもできるようになりました。
そして、早くも次のターゲットである「自分の名前を書くこと」に取り組めるようになりました。
半年後には自分の名前を書けるように
近くに見本を書いておき、それを見ながら書いてもらうこともできるようになりました。
そして半年後には、見本がない状態でも、「お名前を書いて」という音声指示だけで、お子さん自身の名前を書けるようになりました。
「やらされる課題」から「自分でやりたい課題」へ
その頃には、紙などを出すだけで、名前書く要求が出てくれるようになり、そのお子さんにとって、自分から描きたい!と思ってくれるほどの課題になったのかなと嬉しくなりました。
その頃には、紙を出すだけで「名前を書きたい」という要求が見られるようになりました。
「やらなければならない課題」ではなく、お子さん自身が「書きたい」と思える活動になっていたのだと感じ、とてもうれしく思いました。
子どもが「言うことを聞かない」のではなく、その子にとって分かりやすい伝え方や取り組みやすい環境になっていない場合もあります。
ABAでは、お子さん一人ひとりに合った方法を考えながら、小さな成功体験を積み重ねることで、「できた!」を増やしていきます。






