チルドレン・センター

ABA(応用行動分析学)で自閉症を療育

テレヘルスで見つけたお子さんの意外なところ、変わらないところ

はじめまして。ABA指導者のお餅です。RBTを目指しています。

感染症対策として、チルドレン・センターでは、テレヘルスが以前より盛んに実施されています。テレヘルスとは、オンライン上で画面越しにABA指導を行うことを指します。直接RBTがご自宅に訪問したり、お子さんがセンターに来ていただかなくても、インターネットの環境があれば、指導を実施することができます。(私は読んだことがありませんが、海外では積極的に進められ論文や研究も多くあるそうです)

しかしながら、画面越しに通話することに慣れていない方であれば、テレヘルスに対して、不安を感じられるのは当たり前だと思います。かくいう私も慣れていませんでした。また、リモートでの対話には慣れていても、オンラインでのABA指導がどんなものか分からず不安を感じる方もまだいらっしゃると思います。

そこで、今回はテレヘルスでのABA指導の様子を、先輩RBTにも相談をしながら(汗)ご紹介いたします。

  1. 開始直後から元気いっぱい!

通常は、チャイムが鳴ってドアが開いてRBTがはいってきますが、テレヘルスの場合、送付されたURLにアクセスしていただき、ABA指導が始まります。

先輩RBTは、環境の変化を起こずに指導開始できる素晴らしさを実感したそうです!

「伺っていた際には、セラピー開始直後はモデリングを入れてやっと1語で、小さい声でお話しし、徐々に2語、3語でお話しするケースがあったけれど、テレヘルスだと 最初から元気いっぱいの様子で始められる場合があったの。外から人が来ることなく、パソコンの画面がついただけで回りの環境に変化がないからかも。」 

  • 画面に映る人の顔そのものに興味あり!

テレヘルスでは教材を画面上に提示することが多々あります。様々な手法をとっていますが、どの方法にしてもお子さんに、セラピストと教材が映っている画面を見てもらうことで実施することができます。そこでお子さんに画面を操作してもらったり、画面を指差ししてもらったり、声やツールで答えてもらったりします。

先輩RBTは、「保護者の方は「むりむりー」とお考えの方もいたようだけど、実際は、実は画面の私とのアイコンタクトがあう率が増加したケースも多いの。」 

おーなんと。これは、BCBAになぜかをきかなければ。。。

  • プロンプト

ABAの指導では、まずお子さんに失敗することなく成功する体験を積んでもらうことを重視しています。その成功体験のために、まだお子さんがひとりで成功できないときは様々なプロンプトを用います。少しずつお子さんの行動を見ながらプロンプトを抜いていき、最後はプロンプトなしで成功できるように指導をしていきます。その中でお子さんの体に触れる「身体プロンプト」があり、具体的には「お子さんの手を正解の選択肢の方へ持っていくこと」「背中をそっと押す」などがあります。ところがテレヘルスだと当然のことながら、セラピストは実際にお子さんの体に触れることはできません。そこで、ご家族の方にご協力いただいて身体プロンプトを入れています。例えば、画面上に映っているイラストに対して「海を走る乗り物なんだ?」と言うセラピストの指示のあと、ご家族の方にお子さんの手を持っていただいて正解の絵を選択してもらっています。

先輩RBT「癖で、ついつい入れがちなプロンプトが不要になったことがあって。例えば、課題を開始しようとしたとき、画面の前にお子さんが居なくても、セラピストが「はーい、じゃあ始めるから戻ってきて」と言うと、たとえ時間がかかったとしても画面の前に戻ってきてくれたそう。身体プロンプトがなくてもきちんと戻ってくれる行動の随伴性ができていたんだけど。行動の機能がよく見えることがあった!」

RBT勉強中のお餅としては、驚きなコメントばかりでした!

いかがでしたでしょうか。直接顔を会わせることが難しい状況でもABAの指導が実施できている様子の一部を、具体例とともに今回ご紹介しました。テレヘルスに対するご理解の一助になれば幸いです。