発達障害の相談先はどこ?ABA専門家が教える病院選びの4つのポイント

ABA専門家が教える病院選びの4つのポイント

子どもの行動について、こんなお悩みはありませんか?

  • 「気になる行動があるけれど、病院に行くべきか迷っている」
  • 「どの病院を選べばいいのかわからない」
  • 「発達障害について相談できる病院を探している」

私たちは、こうした不安を抱える保護者の方々と日々向き合っています。

日本では、ABA(応用行動分析学)による支援は現在のところ医療保険の対象外ですが、海外ではABAが保険適用される国も多く、ABA専門家から「まずは医師の予約を取りましょう」と勧められるケースが一般的です。

実際、多くの国では、医師の診断を受けた後にBCBA®(行動分析士)や専門機関へ紹介される流れが確立されています。

私たちチルドレン・センターにも、医師からの紹介でご相談に来られるご家庭が多くいらっしゃいます。

こんな疑問に答えます
  • 発達障害の早期発見が重要な理由
  • 病院を選ぶ前に確認すべきこと
  • 病院の選び方で未来が変わる
  • 診断後の選択が未来をつくる
目次

発達障害の早期発見が重要な理由

医療機関や専門医に相談する第一の目的は、「正確な診断を受けること」です。

発達障害においては、早期診断・早期介入がとても重要だとされています。早い段階で特性を理解し、適切な支援をスタートすることで、お子さまの将来の生活や学習環境に良い影響を与えることができます。

多くの日本の医師は、ABAやOT(作業療法)、ST(言語療法)といった具体的な支援には直接関わっていません。しかし、これらの支援を始めるうえでも、身体的な障がいの有無を含めた医師による総合的な診断は非常に重要です。

また、診断を受けることで、保護者の関わり方やお子さまを見る視点が大きく変わることもあります。

実際、周囲に何も言われていないにも関わらず、

  • 「しつけが足りないのでは」
  • 「私の育て方が悪いのかもしれない」

と、自分を責めてしまう保護者の方は少なくありません。

しかし、発達の特性(いわゆる「でこぼこ」)は誰のせいでもありません。むしろ、良かれと思って続けていたしつけが、望ましくない行動を強化してしまっていることもあります。

だからこそ、医師の診断を受けることが、保護者にとっても「次のステップに進むための第一歩」になるのです。

病院を選ぶ前に確認すべきこと

診断のために病院を予約する前に、保護者として準備しておきたいことがあります。

まず、丁寧に時間をかけて診察・診断をしてくれる専門医の予約は非常に取りづらいことがあります。そのため、「すぐに診てくれる医師」で妥協したくなることもあるかもしれません。

ですが、予約が2~3か月先になったとしても、焦らず、信頼できる医師を待つことが大切です。特に小児の場合、保護者が「この先生に相談したい」と思えることがとても重要です。

どうしても予約が取れない場合は、かかりつけの小児科の先生に相談してみるのも良い方法です。

病院の選び方で未来が変わる

「病院はどこでも同じ」だと思っていませんか?

実は、どの医師・医療機関で診断を受けるかによって、その後の支援の質や方針が大きく変わることもあります。

多くの自治体では、子どもの医療費が無料になる制度がありますが、専門性の高い医師の診断には相応の費用がかかることもあります。これは、専門医がこれまで積み重ねてきた知識や経験、そして精密なアセスメントに裏付けられているからです。

例えば、海外では保険に加入していても、診断までに2日かけて3000ドル以上の費用がかかるケースもあります。そこまで丁寧なアセスメントが必要とされているのです。

日本でも近年は、しっかりと費用と時間をかけて診断をしてくれる病院やクリニックが増えてきました。

診断には複数の検査を受ける必要があるため、時間をかけて丁寧に対応してくれる医師を選ぶことが大切です。

チルドレン・センターが推奨する医療機関

神尾陽子クリニック

神尾陽子クリニックは、自閉症や発達障害をもつお子さんとご家族に寄り添いながら、専門医と療法士が丁寧な外来診療に加え、医療型短期入所などの入院支援も行っています。

チルドレン・センターと神尾先生の対談はこちら。

国立成育医療教育センター 発達評価支援室

国立成育医療研究センター 発達評価支援室では、自閉症や発達障害をはじめ多様な発達の特性を専門医・療法士がチームで評価し、外来診療に加え入院での継続的支援も行っています。丁寧なフォローを通じて、子どもたちの未来を共に考えます。

TELL (英語でうけられるメンタルクリニック)

TELL Japanは、国際的な背景を持つ方々へのメンタルヘルス支援を行う団体で、自閉症や発達障害を含む子どもへの評価・カウンセリングにも対応しています。必要に応じた継続的なサポートも提供されています。

診断後の選択が未来をつくる

診断がついた後、「では、この先をどうするか?」がとても重要です。

  • 療育を受けるか?
  • どんな支援が必要なのか?
  • どんな機関に相談するのがよいのか?

など、次のステップを考えるための出発点が「診断」です。

診断名を知ることで「ホッとした」「モヤモヤが晴れた」と話される保護者の方も多くいらっしゃいますが、大切なのは診断や検査は「宣告」ではないということ。そして、これからの支援や関わり方を一緒に考えていくための“スタート地点”なのです。

今後、療育をご検討される場合は、信頼できる専門機関やエージェントを見つけることが大切です(※療育の選び方については別記事でご紹介しています)。

おわりに

医師による診断は、お子さまの成長とご家庭の安心のために、とても大きな意味を持っています。本記事が、病院選びの参考となり、お子さまにとってよりよい未来の一歩につながれば幸いです。

私たちチルドレン・センターは随時ご相談をお受けしております。お気軽にご相談・お問い合わせください。

この記事を書いた人

松田 幸都枝(まつだ こずえ) 松田 幸都枝
(まつだ こずえ)
チルドレン・センター 代表取締役

認定行動分析士 (博士)(BCBA-D®)
米国ニューヨーク州 行動分析士
Pepperdine大学大学院 准教授


豪州シドニー大学教育学部初等科、特別支援学部卒業後、豪州、イギリス、オランダなどで特別支援および普通学級などで勤務。米国の大学院にて、博士(応用行動分析学)課程を修了。2008年、株式会社チルドレン・センターを設立。全従業員 国際資格保有。チルドレン・センターのスタッフとともに、日本、米国、およびアジア諸国にて、家庭や学校内でのABA指導およびスーパービジョンを務める。2016年より大田区の特別支援アドバイザー就任。2020年よりペッパーダイン大学大学院 心理学部の准教授として指導。著書に「小児科医に知ってほしい応用行動分析学(ABA)について」(小児内科/ 東京医学社) 、Culturally Tailored ABA: Treatments for Asian American Clients and Families. Multiculturalism and Diversity in Applied Behavior Analysis. Bridging Theory and Application (Routledge社) など。

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ご家庭でもできることがあればという視点からお話しさせて頂きます。

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